クレジットカード会社の督促(取り立て)の仕事をしたことがあります。
口座振替の日に資金不足で口座振替ができなかった人に電話をして、支払いを約束してもらう仕事です。
その頃は携帯電話は普及してなかったので、自宅か会社に電話をすることになるのですが、自宅はたいてい誰も出ません。
それで、会社に電話します。
会社名は名乗らず、個人名でかけます。
だいたい本人はいません。居留守を使っているのかもしれませんが。
相手の会社の電話に出た人は、たいてい煩わしそうな口調で「現場に直行してます」とか、「今出てます」と言います。
「用件は何ですか」とめんどくさそうなのに、食い下がってくる人もいます。
そこで「電話を下さいと伝えてもらえませんか」と丁重に言って、こちらの電話番号を伝えて電話を切ります。
知らないところに電話して、知らない人と話すというのは結構ストレスです。
折り返し電話がかかってくるのは、だいたい1割くらいでしょうか。
個人名での電話がかかった時点で、督促の電話だとわかり、すぐに払ってくる人もいます。
その頃は携帯電話が普及し始めた頃で、まだ高額だった携帯電話を契約し、携帯電話本体の支払いができなくなっている人も多かったです。
今みたいに通話料と本体代を分割して合計で毎月支払いするというやり方ではなかったんですね。
延滞が多いのは車の支払いでしたね。
毎月の支払いが高額なのが多いからです。
プロゴルファーで外車の支払いができない人を見ると、「見栄を張ったのかなー」とか勝手な想像をしていました。
支払ってくれるように話すと、「はい、わかりました」と素直に答えてくれる人はいいのですが、「金がないのに、どうやって払えばいいのか!」と怒鳴ってくる人は単純に怖かったですね。
こちらが悪いわけではないのに、しばらく電話をかけたくなくなります…。
それからあー言えばこういう、みたいな理屈をこねまくる人もめんどくさくて、タチが悪くてイヤでした。
「明日払います」と素直に答えるくせに、払わない。
次にまた約束しても払わない。
何回約束しても払わない、人をバカにしてるのかと思えるような常習犯みたいな人もいます。
こういう人には「いつ、どこの銀行から、何時頃払う予定なのか?」をしっかり聞くようにしてしました。
先輩のうまい取り立ての仕方を横で聞きながら、参考にしてました。
でもやっぱり払う人は払うけど、払わない人は払いません。
結局、お金があれば払うけど、ないから仕方ないのでしょう。
電話の合間に、振込用紙がついた「督促状」を出します。
自動的に出る督促状もありますが、手動で出すものもあって、文面も選べました。
車のローンの場合は、「車両引き上げします」という督促状は効き目がありましたね。
ローンが終了するまでは車の所有者はローン会社だからです。
昼間連絡がとれない人は、夜電話したりもしていました。
夜間のアルバイト生がいて、20時まで電話していました。
夜は在宅率が高いので、約束も取り付けやすいようです。
勤務先を退職していたり、自宅の電話もつながらない場合で、残りの債務が多い場合、実際に家に行ってみる「実地調査」をすることもありました。
これは男性社員が行きます。
こうしてずっと払わない場合、私達の手を離れて次の段階に行きます。
管理部門に行き、もっと取り立てが厳しくなります。
もちろん、そのくらいになると他のローンは通らないし、クレジットカードも作れなくなります。
信用保証協会に登録されるからです。
同じ家の固定電話を使っていれば、その人達は全員ローンの審査もクレジットカードの審査も通りません。
電話番号で判断され、家族は全員同じとみなされるのです。
カードの支払いの延滞は甘く見ないで、きちんと払ったほうがいいです。
悪い情報が残ると、家族全員に影響がありますから。
ここに3年弱働いて、正社員の仕事が見つかったので退職したのですが、クレジットカードについて色々と知ることができたし、職場も和気あいあいで楽しかったなあと懐かしく思い出します。
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