ビックモーターの自動車保険の捏造が取り沙汰されていますね。
加入したばかりの保険が2.3か月で失効しているとか。
従業員に無理なノルマを押し付けて、保険に加入させて、保険料も払わせていたそう。
このニュースを聞いた時、
「保険ではよくある話」
と思いました。
私が生命保険の営業の仕事をしていた25年くらい前のことです。
すでにその頃も保険をとってくるのはとても難しいことでした。
保険を契約するか、保険の仕事をする人を見つけてくるか。
それを毎月やらなければいけません。
しかも、1か月に最低1件、そして保険月と言われるキャンペーン月には3件以上のノルマがありました。
正確に言うと、ノルマは件数ではなく、金額です。
死亡保障の金額が高ければ高いほどいいのです。
保険月のノルマは1億でした。
上司は決して
「自分で入れ」
とは言いません。
でも
「誰かいない?」
と圧力をかけてきます。しつこく、しつこく。
それに耐え切れなくなった私たちは、自分名義やダンナ名義、子供名義で加入します。
そうやって、1回はまると抜けられなくなる、それが保険の仕事なのです。
でも、いつかは限界が来る。
ちゃんとした契約が取れればいいのですが、それはかなり難しい。
いつまでも契約を取り続けていくことは難しいし、自分の保険料の支払いが毎月毎月やってきますから。
世間では保険の契約をとったら、いっぱい給料をもらえると思われているようですが、全然そんなことはありません。
『ごほうび』は分割されて少しずつしか給料に入ってきません。
ずっと毎月、保険を取り続けていける人なんてほとんどいません。
だいたい半年から1年くらいでほとんどの人は辞めます。
ということは、その間契約してきた保険料で保険会社はもうかります。
辞めるというと、上司から
「わかってると思うけど、1件ね」
と言われました。
「最後に必ず1件はとってきて、その保険料を3か月くらいは払いなさいよ」という意味です。
なので私も辞める時、友人に名前を借りて個人年金保険を契約しました。
確か、7000円くらいの保険料でした。
それを3か月支払って、そのまま払わずに失効させました。
個人年金保険は保険料が安いので、こういう捨てる保険には適しているのです。
私が化粧品会社で働いていた時、お客さんに保険屋さんがいました。
ある時、こんなことを言われました。
「今日、いっぱい買うから名前貸してくれない?」
私もノルマがあり、彼女もノルマがある。
利害が一致して、私は架空の保険契約をしました。
若いほど保険料が安いので、若い子を狙うんですね。
こんなことはよくあることでした。
保険の仕事を長年やっている人はそういう架空の保険を何件も持っているようです。
ですから、今回のビッグモーターの保険の件も『よくある話』だと思います。
保険屋さんはそうやって契約を伸ばし、一等地にビルを建ててきたのです。
保険の仕事は決して儲かりません。
保険を取り続けなければいずれ辞めることになります。
親兄弟や親戚、友達に保険を勧めてはいけません。
「せっかく入ってやったのに、辞めるのか」
と文句を言われます。
今の保険業界は改善されているのでしょうか。
でも、私は保険の仕事をやってよかったなと思っています。
保険というものの勉強ができたからです。
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