50代で手放したもの

いわゆる『婚礼家具』を持っていました。

オークのような色のつるつるした表面で木目のでっかいタンス。

服をつるして掛けるタンスと、整理タンスと着物専用のタンス。

それと同じシリーズのドレッサーも持っていました。

今の時代にまったく合わないし、自分の今の好みでもない家具。

何でこんなものを、あの頃の自分は買ったのか?と思うほど。

私が結婚した頃は、花嫁道具にタンスやドレッサーを買うのは当たり前でした。

結納金というものを夫となる人から受け取り、そのお金でタンスや家電を購入して新居に持っていくのです。

一応、結婚前に両親と家具屋さんに行き、一緒に選んだものではあるのですが。

私が欲しいと思ったものは、もっと高いものでした。

しかし、元夫からもらった結納金は、私の両親が予想していた金額にはほど遠かったのです。

母から

「あんな結納金じゃ、そんなに高いのは買えん」

と言われ、私は申し訳ないような気持ちになり、もらった結納金で買える範囲の家具を買うしかなかった。

夫がそれほど高給取りではなかったことはわかっていたのですが、両親に対して私は正直恥ずかしかった。

結局、結納金だけでは足りず、両親はいくらかお金を出してくれました。

そして、結婚する数日前に婚礼品を家に搬入。

持っていくものは紙にきちんと書いて、夫側に渡しました。

1.布団 2.整理タンス…みたいな感じに書いてました。

住む家は狭い狭い団地。

そこに婚礼ダンスとドレッサーを置くと、寝る所もないくらいでした。

それでも、私が結婚した頃は婚礼ダンスを買うのが当たり前でした。

数十年がたち、この婚礼ダンスを処分したいと思った時、多少の躊躇はありました。

両親が買ってくれたものでもあるから。

しかし、

「離婚しているし、この家具には嫌な思い出がある」

と母に言うと、そこまで反対はされませんでした。

マンションを買ったタイミングだったので、タンスは処分し、クローゼットを作り、大正解。

タンスの処分はリフォーム業者にお願いしました。

ドレッサーに関しては、なくてもまったく困らない。

まさに婚礼家具は、無用の長物だったのです。

 

 

 

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