いわゆる『婚礼家具』を持っていました。
オークのような色のつるつるした表面で木目のでっかいタンス。
服をつるして掛けるタンスと、整理タンスと着物専用のタンス。
それと同じシリーズのドレッサーも持っていました。
今の時代にまったく合わないし、自分の今の好みでもない家具。
何でこんなものを、あの頃の自分は買ったのか?と思うほど。
私が結婚した頃は、花嫁道具にタンスやドレッサーを買うのは当たり前でした。
結納金というものを夫となる人から受け取り、そのお金でタンスや家電を購入して新居に持っていくのです。
一応、結婚前に両親と家具屋さんに行き、一緒に選んだものではあるのですが。
私が欲しいと思ったものは、もっと高いものでした。
しかし、元夫からもらった結納金は、私の両親が予想していた金額にはほど遠かったのです。
母から
「あんな結納金じゃ、そんなに高いのは買えん」
と言われ、私は申し訳ないような気持ちになり、もらった結納金で買える範囲の家具を買うしかなかった。
夫がそれほど高給取りではなかったことはわかっていたのですが、両親に対して私は正直恥ずかしかった。
結局、結納金だけでは足りず、両親はいくらかお金を出してくれました。
そして、結婚する数日前に婚礼品を家に搬入。
持っていくものは紙にきちんと書いて、夫側に渡しました。
1.布団 2.整理タンス…みたいな感じに書いてました。
住む家は狭い狭い団地。
そこに婚礼ダンスとドレッサーを置くと、寝る所もないくらいでした。
それでも、私が結婚した頃は婚礼ダンスを買うのが当たり前でした。
数十年がたち、この婚礼ダンスを処分したいと思った時、多少の躊躇はありました。
両親が買ってくれたものでもあるから。
しかし、
「離婚しているし、この家具には嫌な思い出がある」
と母に言うと、そこまで反対はされませんでした。
マンションを買ったタイミングだったので、タンスは処分し、クローゼットを作り、大正解。
タンスの処分はリフォーム業者にお願いしました。
ドレッサーに関しては、なくてもまったく困らない。
まさに婚礼家具は、無用の長物だったのです。
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