昔、一緒の職場で働いていた人がこんなことを言っていた。
「〇〇さん、もうあそこに住んでないみたい。別の表札がかかってた」
〇〇さんというのは、一緒に働いていた男性。
私よりも10歳以上年上だった。
何となく、その家に行ってみることになった。
着いて表札を見ると、なるほど別の表札がかかっている。
「ピンポン鳴らしてみて、住んでる人に聞いてみよう」
ということになり、少し躊躇したけど、尋ねてみた。
すると、気の良さそうな私たち年齢くらいの女性が出てきて、詳しく話してくれた。
先に奥さんが亡くなり、その後ご主人が亡くなった。
ご主人が亡くなってすでに5年くらいになる。
息子さんと娘さんが家を早く処分したかったようで、とても安くこの家を手に入れることができた…。
そんな話だった。
やっぱり亡くなってたのか。
まだ70代だっただろう。
まだまだ若かったのに。
そして、こんな話もしてくれた。
天井裏に段ボールに入ったアルバムがあった。
不動産屋さんに連絡して、息子さんたちに取りに来てもらおうとしたけど連絡がなくて、今だにそのままになっている。
悪いなと思ったけど、そのアルバムを見せてもらった。
高級なホテルに泊まったり、クルーズ船で旅行したりしている写真が大量にあった。
あんなにいいところに泊まれるなんて、いいところにお勤めだったんだなと思った…。
いいところにお勤め…というわけではなかったけどね。
でも、旅行好きの人だった。
今の時代にしては若くして亡くなったけど、たくさん夫婦で旅行して、悔いのない人生だったのかも。
「アルバム、持って帰ります?」
と聞かれたけど、丁重にお断りした。
亡くなった後のアルバム、その女性はもちろんだが、遺族も扱いに困るもの。
アルバム、処分しておいた方がいいかな…と思ったのでした。
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