レスパイト入院を知っていますか

ナイト テーブルの黒いテーブル ランプ

レスパイトとは『休息』『息抜き』という意味です。

在宅で介護をしている家族が、日々の介護に疲れを感じ、介護力の限界を超えて介護不能になることを防ぐ目的で短期で入院することを『レスパイト入院』と言います。

また、家族の体調不良や冠婚葬祭、旅行などのために入院してくることも。

私が勤めている病院にも、このレスパイト入院をしてくる人は多いです。

こういう状況を見ると、家で介護している人たちは意外と多いということに気づきます。

想像以上に大変だと思います。

今、私の勤めている病院にレスパイトで入院している人は60代の女性。

背が高く、ガタイもいい。

5年くらい前にお酒を飲んで泥酔して、転倒。

頸椎を損傷して、首から下が完全に動かなくなってしまったらしい。

頭ははっきりしているし、会話も普通にできる。

食事もできるけど、すべてに人の助けが必要です。

家では娘夫婦と孫2人の5人家族。

娘さんが仕事に行っている昼間は、毎日男性ヘルパーさんが来てくれるそう。

娘さんは夜間だけ介護しているようです。

それでも、家で介護するということは大変でしょう。

この女性は3か月に1回程度、レスパイト入院してきます。

普段はヘルパーを活用し、夜間介護できない時はレスパイト入院を利用するという上手な活用方法ができているなと感じます。

入院してしばらくして、状態が落ち着いてくると

「家に連れて帰りたい」

と安易に言ってくる家族がいます。

実際、家で介護することの大変さを実感できていない人は多いです。

寝たきりだから、おむつ替えるくらいでいいでしょと思っている人は多いですが、オムツ交換も思っている以上に大変です。

そして体位交換といって、2時間くらいごとに体の向きを変えてあげないとすぐに褥瘡、つまり床ずれができます。

痰の多い人は定期的に痰を吸引しないと、痰が詰まって死んでしまいます。

認知症がある人で、歩いたり動くことができる人の介護はもっと大変です。

トイレの失敗が多いのがとにかく大変。

オムツをさせてくれればいいけど、違和感があるので外してしまう。

そうすると、あちこちに漏らして回る。

外に出て、徘徊する。

同じことを何回も言う。

これが一緒にいると、一番のイライラの元になります。

職場でも、ナースコールを鳴らしてきて、何回も同じことを言われると本当にイライラします。

しかも、解決できることならともかく、支離滅裂な訴えや、何かを盗まれたという妄想だったりするとどうしようもない。

最初は対応するけど、そのうち無視します。

仕事が終わればその人から離れられるからいいけど、家族だと逃げ場がありません。

家族が介護疲れで殺人したというニュースを聞くと、私たち職員は

「わかるよね。その気持ち」

と言います。

介護を実際したことのない人はきれいごとを言うけど、実際の現場は本当に過酷です。

そんな時は是非、レスパイトを使って下さい。

介護認定を受けているなら、ケアマネージャーさんに相談してみて下さい。

介護認定を受けてないならすぐに役所に相談してみて下さい。

 

 

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