小説8050を読みました 私が思う引きこもりの解決策

林真理子さんの小説は昔からとても好きで、よく読んでいました。

最近、8050という気になるワードが入った本が出版されたので、購入して読んでみました。

8050問題とは、80代の親が50代の引きこもりの子供の生活を支える状況のことです。

引きこもりのきっかけ

  • 不登校
  • 退職
  • 職場になじめなかった
  • 就職活動がうまくいかなかった
  • 人間関係がうまくいかなかった
  • 病気など

子供の不登校からの延長ということもありますが、今働いている人達も誰でも引きこもりの状態になり得るということですね。

一度レールから外れるとなかなか戻れない社会、非正規雇用や派遣などの働き方をしている人が多い現状、職場の環境がブラックでつらくて辞めてしまう人達。

そういう現状で引きこもらざるを得ないのではないでしょうか。

そしてその引きこもりがだんだんと長期化していき、親はどんどん年をとる。

親は世間体を気にして、周囲に打ち明けないし、相談もしない、うちの中だけで解決しようとするができない。

年金生活になっても親は子供を食べさせていかなければならない。

経済的に厳しい状況になっていきますよね。

身近にあった8050問題

私が勤めている病院に、まさに8050問題の当事者と言える80代のAさんという男性が入院していました。

妻も80代で一人息子は40代。兄弟はいません。

息子は職場でのトラブルから5年以上前に勤めを辞めて引きこもり、うつ病と診断され、障害年金を受け取っていました。

「息子が心配」「家が心配」とその男性は少し認知症がありましたが、入院中訴え続けていました。

入院して3か月がたった頃、病院に役所から電話があり「Aさんの親族から役所に電話があった。家に電話をするけど誰も出ないらしい。奥さんと息子さんがどうしているか、知らないだろうか?」と。

そこで病院のソーシャルワーカーが家に電話した。

すると息子らしき人物が出たが、会話がたどたどしく、「はい」「いや」しか言わなかったらしい。

「とにかく明日家に役所の人が行くので、必ず鍵を開けてほしい」と話すと了承したそう。

役所の人が翌日家を訪問すると、奥さんは腰をひどく痛めて寝込んでいて動けない状態、しかも床ずれができるほどだったらしい。息子はどこにも連絡することもなく、家にあるものを食べて空腹をしのいでいたようだったと。

奥さんはすぐに救急搬送されて、うちの病院に入院し、息子も別の病院に入院したそうです。

3か月ほどで奥さんは退院し、またその3か月後にAさん自身も退院しました。

半年ほどして、自宅に電話をして退院後の様子を尋ねると、何とか夫婦二人で生活できているが、息子はまだ精神科に入院中だということでした。

多分、息子さんはこの先ずっと精神科から退院することはできないでしょう。

両親は年をとるばかりで、夫婦二人の生活だけで精一杯のはず。

今回、両親が入院したことで図らずも息子の行く先が見つかり、結果的には良かったと言えるのでは。

今このような家族は増えているそうです。

この夫婦も自分たちが年を取っていく中、息子の行先を案じていたと思いますが、何もできずにいたのでしょう。

一緒に暮らしたい、手元に置いておきたいと思っていたのでしょう。

いつか立ち直ってくれると思っていたのかもしれません。

息子さんは引きこもりの当初は親に暴力を振るったりすることもあったそうですが、精神科を受診し、定期的に母親が薬をもらいに行ってそれを飲むことで症状は落ち着いていたらしいです。

しかし実際、この息子さんは会話もまともにできる状態でなく、母親が病に倒れていてもほおっておくことしかできない、かなりうつ病が進行していたのではと思います。

私の長男の場合

私の長男は高校2年の夏休み明けから不登校になり、高校3年の時に退学。

大検を経て専門学校に入学しましたが、それも半年で退学。

学校を休み始めた頃は、何とか学校に行かせたい一心で、毎日毎日学校に行くように息子を説得しました。

でも、ダメな時は何をしてもダメなんですね。

その頃息子は毎日ネットでゲームをしながら、会ったこともない人をしゃべっていました。

ネットを解約したら学校に行くかも、と思い、解約しようとしたこともあります。

でもこれは根本的な解決にはならないと、ネットの解約はせず、ゲームを続ける息子を黙認していました。

小言を言わず、引きこもりを続ける息子を黙って見守りました。

普通に話しかけ、一緒に買い物に行ったりもしていました。

「○○くんは頭がいいから」「できる男だよ」「いつも先生にほめられてたね」とプライドの高い息子の自尊心をくすぐる言葉をよく言っていました。

私は励ますつもりで言っていましたが、本人が実際どう思っていたのかはわかりません。

そのうち、何気なく近くのスーパーのアルバイト募集の話をすると、やる気になったのか、自ら面接に行き、採用され働くようになりました。

息子の引きこもりはそれほど長い期間ではありませんでしたが、息子自身を認めて、ほめて、ただずっと見守ったことが引きこもりから抜け出すことができるきっかけになったような気がします。

引きこもりの解決策は?

小説8050とは設定も何もかもまったく違いますが、入院していた夫婦の息子も我が家の長男も、親子ともに苦悩し、周囲に相談できない状況でした。

「引きこもりの子供がいるなんて、周囲にばれたら恥ずかしい」

私もそう思っていました。

実家の両親にもなかなか言えませんでした。

引きこもりは長期化すると解決が困難になるので、できるだけ早い段階で周囲に相談するなど、積極的に動くことが大切だと思います。

今は相談できる窓口もかなり増えてきたし、引きこもりも珍しい時代ではなくなったので、恥ずかしがらずに相談してみたほうがいいと思います。

そして親の心構えとして、親は子供と真剣に向き合っているということと「あなたを信じて待っているよ」というメッセージを伝え続けることが大切なのではないかと思います。

 

 

 

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