介護あるある 昨日の夜勤も大変でした

夜勤っていつも何かしらの「こと」があるけど、昨夜もまたでした。

私は療養型病院に勤務する、アラ還の介護福祉士です。

私が勤務する病院の夜勤は、夕方から夜中までの準夜勤と、夜中から朝までの深夜勤があり、3交代となっています。

昨日は準夜勤で、看護師1人、介護福祉士2人の3人体制でした。

Aさんの幻聴がはじまった

Aさんという85歳のおばあさん、普段は穏やかな人ですが何度か転倒したことがあるので、ベッドにセンサーがついています。

センサーの感度は4段階なのですが、その人に対しては一番感度がよい状態にしており、寝返りを打っただけでもセンサーが鳴ります。

転倒されたら困るので、そんな時は急いで部屋を見に行きます。

夕食後にいつも通りベッドに寝たのですが、まもなくセンサーが鳴りました。

部屋に行くと、座っていて、

「お父さんの声がする」「女としゃべっている」と言うのです。

「お父さんはいませんよ。夜だから誰も来ません。もう寝ましょう」と言って、いったん寝てもらいました。

しかし、2.3分でまたセンサーが鳴ります。

そんな時はもう起こして、車椅子に座ってもらいます。

何回も部屋を見に行くと仕事が進まないし、何度も起き上がる人は無理に寝かせても寝ないからです。

その時間は1人が休憩、1人はおむつ交換、1人は洗い物などをしているし、ナースコールも頻繁に鳴るので結構忙しいのです。

いったんは起こしたのですが、Aさんは「いや、寝る」と言い張って、部屋に帰ろうと自分で車椅子を動かします。

それはそれで危ないので、またベッドに寝てもらいます。

そうするとまたセンサーが鳴ります。

これを何回も繰り返します。うんざりします。

今度は妄想がはじまる

何回めかのセンサーで私が部屋に行ってみると、怖い顔をしていきなり大声で

「あんたね、あんたお父さんと一緒にいたでしょ!」

「私に隠れて、こそこそして」

と怒鳴るのです。

まずいなと思った私はとっさに

「いや、私今来たばっかりですよ。どうしたんですか」ととぼけました。

「ああ、そう、さっきからあそこでお父さんが女としゃべってるのよ」

「あの女、色んな男をたぶらかして」

こういう妄想にまともにつきあっていたら、私たちも精神を病んでしまいます。

そこで、「あっちに行って、ココアでも飲んで、お菓子食べませんか」と誘ってみました。

「お菓子なんかいらない!」

だいたい高齢者は甘いものに目がないのですが、今夜はよほど怒っているとみえます。

「お父さんはいませんよ。娘さんに電話して聞いてみましょうか」

「ここは病院でこの時間は外から誰も入れないんですよ。だからお父さんはいないんですよ」

こういう説得は、わかっているけどほとんど意味はありません。

「いや、さっき声がした。女としゃべってた」

同室の女性患者を指さし、「あの女が私のお父さんをとった!」「どろぼう!」と言い出す。

興奮して、もうどうしようもない状態。

睡眠薬を飲んだが…

そのうち、看護師が休憩から帰ってきたので、この状況を話すと

「じゃ、薬飲ませましょう」

Aさんは医師から処方されていた睡眠薬を飲みました。

しかし、その後も一向に眠る気配はなく、横になったまま天井を見つめています。

睡眠薬のおかげで、起き上がる気力はないようです。

私が休憩に行き、1時間後戻ってAさんの部屋に行きましたが、やっぱり眠っておらず。

「あんた、何しに来た!」

「私は私の道を行くのっ!」

「ほっといてっ!」

もう支離滅裂です。

余計なことを言うと、火に油を注ぐ状態になるのでそっとしておきます。

そのままAさんは眠りませんでした。

認知症高齢者と介護士

そして、私の準夜勤は終了しました。

この日はAさんに翻弄されました。

認知症高齢者が妄想を話しはじめると、もうどうしようもありません。

正当性のある話をしても、通じないし、高齢者は自分の考えを曲げることはないのです。

Aさんは普段から妄想が多く、「お父さんはボクサーで、今からテレビで試合がある」などとよく言っていました。

昼間であれば、職員もたくさんいるので話を聞いたり、見守りもできるのですが、夜は人もいないのでそうはいきません。

私が以前勤務していた特別養護老人ホームでは、睡眠薬は飲ませていませんでした。

睡眠薬を使う=強制的に眠らせるということで、体を拘束することにつながると考えるからです。

その点、病院というところは薬をあっさり処方するし、飲ませます。

興奮して起き上がり、歩けないのに歩けると思い込んで、こけて骨折

このパターンが怖いので、薬はある意味助かります。

そして、看護師自体が認知症高齢者につきあうのが苦手ということもあります。

認知症にじっくりつきあうのは介護福祉士の役目ですが、それでもメンタルをやられます。

ニュースで介護士の暴力などが時々問題になりますが、現場にいる私たちは

「その気持ちわかるわ~」と口をそろえていいます。

もちろん、暴力はいけません。

でも、認知症高齢者に優しく穏やかな気持ちでずっと接することはできないのです。

仕事とはわかっていても、ついイライラして大きな声を出してしまったりするのです。

時間に限りがあるから、給料をもらっているから、我慢して何とかつきあうことができるのです。

やっぱり介護士は忍耐が必要ですね。

しかし、Aさん、85歳になってもご主人のことが大好きなんだなぁと、ちょっと感心しました。

 

 

 

 

 

 

 

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