医師を猟銃で撃って死亡させるという、何とも痛ましい事件がありましたね。
犯人は20年ほど前に仕事を辞め、母の介護をしていたらしいですが、母の年金と生活保護で生活していたとのこと。
死亡後に蘇生してほしいと医師に頼んだらしく、やはり年金が途絶えることを恐れていたのでしょうか。
病院と患者の間の深まる溝
医療を提供する側とされる側の意思疎通って本当に難しいものだと思います。
特に入院が長くなってくると、回診があっても医師も説明を省きがち。
医師の説明で納得せずに、不信感を募らせる患者はよくいます。
また薬の内容に関して納得せずに説明を求めてくる患者も多くいます。
もらった薬を飲んでいるのに、一向に状態が良くならない。
眠れない、お腹の調子がすっきりしないなど。
そんなに即効性のある薬だとかえって怖いのですが、毎回毎回医者に文句を言うので、めんどくさい患者だと思われます。
納得するまで患者が聞くのは当たり前なんですけどね。
また、認知症の患者があることないことを、家族に電話で話すことも多いです。
「話を聞いてくれない」
「看護師から叩かれた」
「早く出ていけと言われた」など、ほとんど作り話といえるレベル。
ほんとうに出ていってほしくても、さすがに患者の前では言ったりしません。
コロナ禍で面会できない家族はそれを全面的に信じ、医師や病院に対し不信感を募らせます。
職員が暴言を吐いているらしい、必要な医療が行われていない、薬漬けにされたなど。
病院に勤めている職員は、少ない人数の中で、目の前の患者に対し全力で対応しています。
どんなケアをしているか、見てほしい。一日中見学してほしいくらいです。
年金や賠償金目当ての家族
以前勤務していた施設に、あるおばあさんが入所していました。
おばあさんは90歳を超えていて、寝たきりで意思疎通もできない状態。
その家族は、施設から歩いて5分の団地に住んでいたのですが、面会には全く来ませんでした。
その団地はおばあさんが契約している市営団地で、格安で入居できていました。
そしてもちろん年金もあり、家族は住まいとお金が目的で
「一日でも長く生かしてほしい」
と施設に対し、要望していたそうです。
その気持ち、わからなくはないけど、悲しいものですね。
また現在私が勤務している病院に、以前入院していた男性のケース。
50代後半なんですが、仕事中の労災で脳にかなりのダメージを受け、完全に寝たきりでした。
もう回復の見込みはないのですが、労災で会社から毎月かなりの金額が入ってくるそうで、奥さんから
「一日でも長く生かしてほしい」
と言われていました。
なので、ちょっと状態が悪くなった時すぐに急性期の病院の方に搬送しました。
もしも死なせたら、何と言われるか。
こんな場合は心臓が止まってしまっても、最後の最後まで心臓マッサージは続けるのが鉄則です。
時折、親が死んだのに、届け出をせずに家の中に放置していたという事件が報じられますが、それも年金収入が途絶えることを恐れてのことでしょう。
いつの間にか大切な家族が、ただの金づるになっている。
そんな悲しい現実が今の社会では当たり前になってきているのです。
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