私の幼い頃からの夢は、小学校の教員になることでした。
小学校教員の免許をとるために、教員養成課程がある短期大学に行きました。
本当は高卒で就職をした方がいいのではと考えていました。
父が定年退職を迎えていて、弟がまだ中学生だったので、進学するのは親に負担をかけると思ったからでした。
しかし、進学校であったためか就職先はなく、コネもなく、そのためあまり金銭的に親に負担をかけないようにと自宅から通える、しかも短期大学に進学することにしたのです。
教育実習に行き、児童たちとのふれあいを通して教員への情熱をさらに燃やしましたが、私の努力不足で教員採用試験で見事不採用。
講師をしながら浪人するという方法も考えましたが、父がすでに定年退職していたので、安心させたいという気持ちで化粧品会社に就職しました。
それから、たくさんの色々な仕事を経て、今は病院で介護福祉士をしています。
今の仕事はやりたかった仕事ではなく、40歳過ぎて仕事を探した時、壊滅的に仕事がなかったので仕方なく就いた仕事です。
介護福祉士の免許をとったおかげで、今は就職先には困っていないのですが、好きな仕事ではない。
認知症のお年寄りはどうしても苦手だし、体力がいるし、腰や膝にダメージが半端ない。
いったい何歳まで、この仕事ができるのか。
夜勤もあるし体力勝負の仕事なのに、健康に不安のある私は漠然とした不安をいつも抱えていました。
そして今日、短大時代の同級生のA子からこんな話を聞きました。
A子も昔、教員の採用試験に落ちて、今は印刷会社で働いています。
A子がいつも行っている習い事で、B子という私と共通の短大時代の同級生に会ったそう。
B子は浪人の末、現在は特別支援学校の教員をしているそうです。
そしてB子から「今、講師がすごく不足しているから、免許を持ってるけど一回も教壇に立ったことのない人でも講師登録すればすぐに採用されるよ。応募してみない」と誘われたそう。
A子は印刷会社の仕事を辞めようかどうかちょうど迷っていた時だったそうで、その話を聞いて思い切って仕事を辞めて、講師登録をしに教育委員会に行ったそうです。
そして、来月からもう講師に採用されるそうです。
えーっ!そんな簡単に講師ってなれるの?
講師というのは、正規の教員が病気休暇や産前、産後休暇、育児休暇などを取得して欠員が生じた場合に採用される臨時職員のことです。
給料も常勤の講師であれば、夜勤もしている私の今の仕事より高い給料で、さらにボーナスもあります。
年齢的に体育はできない、何年も弾いてないからピアノはできない、そんな状態でもよいそうです。
特別支援学級で教えているB子の仕事は、病院に長期入院している児童の学習を支援したりもしているそう。
そういう教え方もあるんですね。
この話を聞いた時、
「教育実習以外、一度も教壇に立ったことのないアラ還が果たして人を教えるなんてことができるのか」
と思いました。
しかし、せっかく苦労してとった教員免許が一度も日の目を見ることがなかったこと。
教育費を出してくれた両親の期待にも応えることができなかったこと。
だけど、もしかしたらこの年でその免許を活かすことができるかもしれないと思うと、何か嬉しくなってくるではないですか。
最高齢では何と74歳の講師がいると、教育委員会の面接官が言っていたそうです。
そんなの聞いたら、私たちなんかまだまだひよっこですよね。
しかし、30数年前、私やA子を不採用にするから今、教員不足になったのではないでしょうか。
少子化なのに、教員志望の学生が多く、あの頃、教員採用試験はかなりの難関でした。
A子が来月から採用になって、どんな職場でどんな仕事をするのか聞いてみて、私も挑戦してみたいと思います。
無謀な挑戦でしょうか。
どちらにせよ、今の職場は60歳で再雇用になり、給料は4割減になるのは決定なのです。
この年齢で、難しい挑戦になることはわかっています。
経験のない私のような人間から教わる子供たちがかわいそうだと思います。
でも、小さな頃から見ていた夢がもしかしたら叶うかもしれない。
大好きな子供たちに囲まれて、憧れの教師という仕事をしたい。
子供の頃からやりたかった仕事をやりたい。
相当に甘い考えで、大きな勘違いをしているのかもしれませんが。
今夜は色々考えて眠れそうにありません。
コメント