タンスの中にピンク色のテロンとした素材のパジャマがあります。
シルクではないのですが、シルクみたいに見える光沢のある素材。
年に1度、登場するかしないかくらいの、出番のほとんどないパジャマです。
これは今から33年くらい前に購入したもの。
長男の出産を前に、はじめての入院のために吟味して、気に入って買ったパジャマです。
確か、1万円くらいだったかな。
今日出して見たら、ズボンの縫い目の所が3センチくらい破れていました。
それでも捨てられずに大切に持っています。
このパジャマを初めて着た時のことを今でも思い出します。
出産本番の時は病院から借りた病衣というものを着ているのですが、出産が終わり、部屋に戻ると自前のパジャマに着替えます。
まだ、出産してまもない時間で、私自身は何となくぼーっとしていて、興奮気味。
部屋には看護師さんと元夫もいて、パジャマの着替えを手伝ってくれました。
その時登場したのが、そのピンクのパジャマ。
それを見た看護師さんが
「新婚旅行じゃあるまいし」
と言ったのです。
その時、看護師さんが笑っていたのか、あきれ顔でいたのか、どんな表情だったのかもう覚えていません。
看護師さんが何歳くらいの人だったのかも覚えていません。
冗談で言ったのかもしれないのですが、
ただ、その「新婚旅行じゃあるまいし」というフレーズだけが今でも心に残っているのです。
その後も私がそのパジャマを着るたびに、元夫が
「新婚旅行じゃあるまいしパジャマ」
と言って笑っていました。
入院には適していない素材や雰囲気のパジャマだったかもしれません。
夫婦で嬉しそうに着替えていたのが、看護師さんの癇に障ったのかもしれません。
しかし、そういう否定的なことを言うのはやはり、看護師としてはよくないのではないでしょうか。
思わず出てしまったのでしょうけど。
「素敵なパジャマですね」
とでも言っておけばよかったのではないでしょうか。
出産が無事終わって、幸せ絶頂みたいな私たち夫婦に嫉妬したのかも、と後から元夫と話したものです。
いやな思い出ではなく、笑い話になっています。
その時出産した長男は、今年33歳です。
何と同じパジャマを30年以上持っているとは。
懐かしい思い出です。
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