50代後半という年齢になって、転職して特別支援学校の講師になりました。
教師としての経験がないので、資格はあるけど、普通の学校で子供に教えるという仕事は絶対に無理。
そこで、教えるのではなく、障害のある子供を介護する仕事ならできるのではないかと今の職場を志望しました。
せっかく介護の仕事から逃れられると思ったのですが、結局介護のような仕事になってしまいました。
でも、今の仕事は介護福祉士としての経験が生かせます。
色々な種類の車椅子の操作、トイレに連れて行って介助する方法、オムツ交換の手順、生徒を抱えて車椅子に乗せたり、または下ろしたりする方法。
特別支援学校では、体の不自由な子供ばかりなので、そういう仕事をやる機会がとても多いです。
例えば、上着を着せたり、脱がせたりすることだけでも、介護には手順があります。
そんなの簡単だよと思うかもしれません。
でも、ちゃんと意味があることなのです。
片方マヒがある人に服を着せる時は、マヒがある方の腕から通します。
反対に、脱がせる時は、健康な腕の方から脱がせます。
そういう介護をやってきた人ならわかる手順というものがあるのです。
12年介護をやってきて、つらい時、きつい時はあったけど、たくさんの経験は積めました。
老人ホームと病院で働いてきたので、たいていのことは経験済み。
急に容態が悪くなったお年寄りを、救急車で搬送したこともあるし。
老人ホームでお年寄りの最期を看取ったこともあるし、病院でも何人か看取りました。
亡くなったお年寄りの体を拭いて、化粧をして、浴衣を着せて、出棺に立ち会ったことも何度もあります。
資格をとることはもちろんですが、経験を積むことに損はないなとつくづく感じます。
周囲の先生方から前の仕事を聞かれて、介護をしていたと答えると
「教員免許も介護福祉士も持ってて、最強ですね」
「介護のプロですね」
と言われることが多く、気恥ずかしいです。
こういう経歴の人って、教員にはあんまりいないと思うので珍しがられます。
もちろん、自分の家族に介護が必要となった時にも、介護士としての経験は生かせるでしょう。
若い時から色々な仕事をたくさんしてきて、給料も安いままだったけど、
今、これまでの経験が生かせていると思うと、人生生きてきて無駄なことってないんだなと思います。
この仕事に就くために、経験を積ませてもらったのだと思えます。
人生、山あり谷ありだけど、機会があるならどんなことでも経験するといいと思います。
どんな経験も自分の糧になります。
回り道してもいいと思います。
経験は最強です。
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