私は療養型病院に介護福祉士として勤務するアラ還です。
ここの病院はリハビリが主な目的です。
早くても1ヵ月、ほとんどの人が3か月くらいは入院していて、長い人では寝たきりで3年以上入院している人もいます。
入院生活が長くなるにつれ、誰もがストレスを抱えて、ちょっとしたこともクレームの元になります。
薬を飲み忘れた人に…
例えば、高齢者で最初は薬をきちんと飲めていたような人でも、入院が長引くと認知機能の衰えが見られることがあります。
そうすると、薬を飲み忘れたり、重複して飲んだりすることもあります。
この間は、便秘の薬である座薬を、口から飲んだ人がいました。
これはこちら側の管理が悪かったのですが。
薬を飲み忘れた時、職員が「ちゃんと飲めてないじゃないですか」「飲めないなら、こちらで管理します」みたいに言うと、まだ自分の頭がしっかりしていると思っている患者はプライドを傷つけられるようです。
職員側としては、認知症の高齢者と日々接しているので、こういうことはよくあることと思っています。
ただ、確実に飲んでほしいのです。
でも、言われた患者側はとても傷つくようです。
そして、その気持ちを職員に言いにくいし、怒りをあらわにすることもない。
怒りを溜めこむために、爆発すると始末が悪いのです。
ナースコールについて
マヒがあったりして体が不自由だけど、頭はしっかりしている患者さんは、ナースコールをよく鳴らす傾向があります。
思うように体が動かないので、色々手伝ってほしいんでしょうね。
しかし、私たち職員にとってナースコールの対応は、正直言ってめんどくさいことです。
こんなこと言ったらダメですけど。
他の仕事を中断してわざわざ部屋まで行かなければならない。
当然、きちんと対応しなければならないこともあるのですが、急いで行ってみると夜中にもかかわらず、
「起こして下さい」「ご飯食べていません」と言ったり、
「お茶をこぼしました」「携帯が見当たらない」とか
思わず「あー」と言いたくなるような内容が多い。
冷静に「もうご飯食べました」「夜中です」と言うだけ言って立ち去ることもあります。
それから、「ナースコールを押してもすぐ来てくれなくて、トイレに閉じ込められた」と主張する患者もいました。
私たちも何人もの患者を相手にしているわけですから、ナースコールに対してすぐに行けるとはかぎりません。
それを「トイレに閉じ込められた」と言われたら、どうしようもない。
また、「携帯をベッドの下に落としたから探してくれ」と言ったら「自分の私物は自分で管理してください」と職員に言われて探してくれなかったと言っていた患者もいました。
そんなイヤミを言わずに、それくらい取ってあげたらと私は思いますが。
同じ部屋の人とのもめごと
割としっかりした高齢者同士、仲が良くなることも多いのですが、うまくいかなくなることも多い。
他人同士が同じ部屋でずっと過ごすのですから、表面上はうまくいっているように見えても、うまくいかなくなるのはわかります。
そしてこじれにこじれ、「部屋を変えてくれ」と言ってくることも多い。
そういう場合は、できる限り対応しますが、難しいこともあります。
まずは思いやり
何でもそうですが、人と人が接することですから、行き違いや誤解は起きて当たり前です。
でも、相手を思いやる気持ちを持って接すれば、クレームにはなりにくいと思っています。
患者と職員でも、お互い人間なので相性はあるでしょう。
好き嫌いも出てくるでしょう。
最初に何らかの原因で悪い印象を持ってしまった場合。
普通に話しているつもりでも、言われたことを悪く受け取ってしまったり、されたことを悪く思ってしまうことがあります。
一度そうなってしまうと、修復がかなり難しくなってしまうのは仕方ないかもしれません。
クレームを言った場合
「職員の対応が悪い」
そういうクレームがあった場合、私たちはそのクレームについて、話し合います。
今後、そんなクレームがなくなるように皆で意見を出し合います。
しかしその後、その人は職員からあまりいい印象は持たれなくなります。
「ただのめんどくさい人」
だと思われます。
本当は心改めて、きちんとした対応をするべきでしょうけど、そんな気持ちを持っている職員は、残念ながらいません。
これは現実です。
「早く、退院すればいいのに」そんなことばかり陰で言われます。
もっとクレームを言うと
「不定愁訴」(検査してもどこにも異常がないのに、頭痛や疲労、食欲不振などを訴え続ける状態のこと)
だと言われ、もっと言うと
「あの人、精神科行きだね」
と言われます。
認知症高齢者が精神科にかかることは普通なんですが。
まあ、何もいいことはありません。
クレームはできるだけ言わない方が…
私がもし、入院することがあって、イヤなこと、つらいことがあったとしても、クレームは言わないでしょう。
職員さんに対しては、いつも笑顔で感謝している様子を見せると思います。
入院途中で、お菓子を配ったりするかもしれません。
クレームを言わずに、感謝の気持ちで過ごすことがうまく入院生活を送るコツです。
そして、なるべく早く退院することです。
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