医者に聞いた一番なりたくない病気は『認知症』だそうです。
私も認知症にだけはなりたくないと思います。
日々、認知症の人たちと接していると特にそう感じます。
特に動ける認知症が一番厄介。
歩いたり、食事ができたり、話すことができる認知症の人。
これがとにかく厄介で、人に迷惑をかけます。
人格が崩壊していると言ってもいいくらいです。
何回も同じことをする。言う。
意味不明なことをする。言う。
奇声をあげたり、徘徊する。
介助に対して激しく抵抗して暴れる。
おしっこを漏らす。
ウンコをして、それを壁や床に塗りたくるなどなど。
特に排泄の失敗が一番イヤなものでしょう。
こういうことに毎日接している私たち介護職は、自分は絶対こんな風にはなりたくない、こんな風になるくらいなら死んだ方がマシとまで思います。
病気で寝たきりなら、オムツを替えてもらったり、お風呂に入れてもらう時の羞恥心さえ、我慢すればいい。
動ける認知症は、とにかく人に迷惑をかけるから、たちが悪いのです。
人にこれほど迷惑をかけるくらいなら、死んだ方がマシです。
有吉佐和子の『恍惚の人』という小説をご存じでしょうか。
恍惚の人とは、認知症の人のことです。
主人公の昭子は同居している舅の茂造がだんだん壊れていく、つまり認知症を発症していることにある日気づきます。
茂造は一日に何度も腹が空いたと食事を要求する、夜には何回も起きる、おねしょをする、トイレを汚す、便を畳に塗りたくるなどの行為をするようになります。
結局、茂造は肺炎であっけなく亡くなってしまうのですが、昭子夫婦はこの茂造の行為に散々振り回され、うろたえます。
そして、自分たちももうすぐ高齢者となって、茂造のような認知症になる、その日は遠くないということに気づき、愕然とするという話です。
若年性認知症という病気もありますし、誰もが認知症になる可能性があります。
認知症にならないために気をつけることなど、色々研究はされています。
高血圧、肥満に気をつける、アルコールを摂りすぎない。適度な運動をするなどなど。
しかしこれは一理あるけど、万能ではない。
結局なる人はなる、ならない人はならないというのが正しいと思っています。
年をとって脳トレなどをたくさんして頭を使っていた人でも認知症にはなるし、血圧もよくて健康で病気知らずの人も認知症になっています。
食事に気をつけず、運動をいっさいしなかった人やタバコをバンバン吸っていた人でも認知症にならない人もいます。
私は認知症になるのは『運命』だと思うことにしています。
そして、自分が認知症にならないことをただ祈るだけです。
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