少し前にネットで見た記事です。
「女性障害者が男性から入浴や排泄介助を受けることは単なる羞恥心の問題ではありません。尊厳の問題です。心身ともにナイフでズタズタにされる感覚でした。性犯罪被害に遭っているのと感覚は変わりありません」
という女性障害者のツイートをNHKが紹介して、男性介護士に対する差別を助長しているなどの批判が多く寄せられたそうです。
介護現場の人手不足、男性介護士の立場など問題は色々あると思います。
現在の私の仕事は、体の不自由な子供たちのお世話です。
学校とは言っても、知的障害があり、体も不自由な子供たちは普通の学習をすることは難しい。
教師とは言っても、仕事は介護士と同じなのです。
食事を食べさせたり、トイレに連れていったり、おむつを替えたりが主な仕事です。
ただ、学校では中学生から『同性介助』になります。
つまり、男の生徒は男の先生が、女の生徒は女の先生が排泄の介助をするということです。
また、抱っこする時も胸の近くは女性の教師が抱え、足を男性教師が抱えるようにします。
異性の身体接触をできるだけ避けるためです。
ここに赴任してきた時、この様子を見て
「ここまで配慮しないといけないのか」
と驚きました。
これも、人員が介護現場よりは足りているし、男女の教師が同じくらいの人数だからできることなのです。
私が介護士として働いていた老人ホームでは、常に人手不足だったし女性の介護士が圧倒的に多かった。
なので、男性のトイレやおむつ交換、お風呂に至るまで女性がほとんどやっていました。
そのことに対して、男性のお年寄りから文句を言われたことはありませんでした。
ほとんどが認知症の人なので、そういう意識はなかったのかもしれません。
介護士自身も、お年寄りたちを男性、女性と言う目で見ることはありませんでした。
全員、ただの『お年寄り』としか見ていませんでした。
その後、病院に転職しました。
病院には、80歳以上の患者が多かったのですが、50代、60代の人もいました。
男性の介護士も割と多かったので、若い女性患者さんにはあらかじめ、
「トイレや風呂を男性が手伝ってもよいか?」
と尋ねていました。
70歳くらいまでの女性はほとんど、女性の手伝いを希望していましたね。
でも、80代以上の女性には最初から聞くことすらありませんでした。
こういう言い方は失礼ですが、「女性と言う感覚がなかった」
後から
「男性から介助されていやだった」
とクレームが入ったりすると、
「めんどくさいね」
と職員はみんな言っていました。
男性の患者さんは、女性が手伝いに入ってもそれほど嫌がることがなかったので、最初から希望を聞くこともありませんでした。
介護士たちは、男性だとか女性だとかを気にすることはなく、仕事として、機械的にこなしているので、
「羞恥心」
と言う感情に対して、鈍感なのです。
でも、80歳以上でも頭がしっかりしていたら、男性に裸を見られるのはいやですよね。
介護の現場はどこも人手不足です。
一番大切なのは、介助を受ける人の気持ちにどこまで寄り添い、配慮できるかです。
人手が不足していても、女性が介助できる日にする、時間をずらして対応するなど、別の解決策も見つかるかもしれません。
介護という仕事をしている人達にとっては、本当に難しい問題です。
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