昨日、テレビで「明日の記憶」という映画をやっていたので観ました。
渡辺謙主演の2006年公開の映画です。
広告代理店のやり手営業マン、49歳の渡辺謙扮する佐伯雅行。
突然物忘れが激しくなり、めまいや幻覚などの体調不良が彼を襲う。
妻(樋口可南子)に促され、病院を受診し、若年性アルツハイマー型認知症だと告げられる。
自暴自棄になりながらも、病気と向き合っていく覚悟をする…という話です。
病院で長谷川式簡易知能検査スケールの検査をしてもらうシーン。
若年性アルツハイマーだと診断され、医者に怒って食って掛かるシーン。
仕事の打ち合わせに行くのに、道に迷ってしまうシーン。
上司に退職を促されるシーン。
以前もこの映画をテレビで観たことがあるのですが、その頃はまだ介護職に就いておらず、認知症に対する理解もない頃だったので、「認知症って大変だなー」くらいの感想しかありませんでした。
認知症についてある程度わかっている今、この映画を観ると
「この時の感じ、わかるような気がする」
「多分、こんな気持ちなんだろうな」
そんな風に想像できるようになりました。
徐々に進行していく自分の病に対し、怒りや悲しみ、恐怖を感じていく渡辺謙の演技には思わず引き込まれて。
娘の結婚式の親族代表の挨拶で、原稿をごこかに置き忘れ、妻の手を握りしめながらとっさに考えた挨拶をするシーンではハラハラ。
でも、その挨拶が切なくて、思わず涙が出ました。
若年性アルツハイマーは20代、30代でも発症すると言われています。
ムロツヨシと戸田恵梨香の「大恋愛」や韓国の「私の頭の中の消しゴム」というドラマでも若年性アルツハイマーが扱われていましたね。
認知症は高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症した場合、若年性と言われます。
若年性アルツハイマーは働き盛りの世代で発症するため、本人だけでなく、家族への生活の影響が大きいのです。
病気のために仕事に支障が出たり、退職せざるをえなくなって経済的に困難になることが多いのです。
子供が成人していない場合には親の病による心理的な影響が大きく、子供の就職、結婚などの人生設計が大きく変わってしまうこともよくあります。
介護者が配偶者であることが多く、介護負担が配偶者に集中したり、親の介護と重なることもあり、さらに介護者の負担が大きくなってしまうことも多いのです。
若年性アルツハイマーは進行が早く、平均8年ほどで死に至ると言われています。
アルツハイマーにより、転倒したり、食べ物を飲み込む力が弱くなって誤嚥性肺炎などにかかり、死亡するケースが多いそうです。
まだ若いだけにアルツハイマーという病気はつらいと思います。
自分が自分ではなくなっていく怖さ…。
さて、どんな結末を迎えるのでしょうか。
よろしかったら、この映画を観てみて下さい。
及川光博、吹石一恵、遠藤憲一、香川照之、木梨憲武などたくさんの方々が脇を固めていて、そこも見どころです。
渡辺謙の演技はもちろん、妻役の樋口可南子の演技が素晴らしいです。
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