母のトリセツ

嘆く母

15時、仕事中に母から着信があった。

その日は21時まで仕事。

「おかずあるから帰りに寄って」と言う時、着信をつけておいてくれる母なので、

帰りに電話したらいいか…と仕事が終わってから電話した。

すると、なかなか電話に出なくてちょっと心配する。

切るとすぐに折り返しがあった。

「今日ね、テレビがついたままリモコンを何回押してもチャンネルが変わらなくなった。電源も切れなくなった。困ってあんたに電話したけど、もうどうしようもなくなって電気屋に電話した」

と言う。

「それってリモコンの電池が切れてたんじゃないの」と口をはさむと

「まあ聞いてよ。お店の人に電源が切れないって言ったら、コンセント抜いて下さいって言われて、抜いたら切れた。それからリモコンが壊れてるかと思って、リモコン持って店に行ったのよ

「ふーん」

「そしたら、電池が切れてますって。テレビ買って3年よ。3年もたったら電池が切れるって。それで一番いい電池買って入れてもらって帰った。バスがなくて2時間くらいかかった。もう情けない情けない

と嘆く母。

「あー。リモコンがきかないっていうことは電池がないよねえ、普通」と言うと

「それがねー、わからんものなのよねー」と言ってまた最初から同じ話をする母。

最後は「情けない、情けない」と何度も繰り返す母。

母は元気とはいえ、85歳。

リモコンが使えない=故障という図式ができても仕方ないと言えますが、それにしてもわからないものかなー。

母は電池切れということに気づかない自分が情けなかったのでしょう。

電源がきれなくても、リモコンが使えなくても、しばらく待っていれば私から電話が入るだろうし、弟に電話してもいいのに。

せっかちな母

何かが起こるともう、いてもたってもいられなくなる性分の母。

以前も掃除機がおかしいと言って、ヘッド部分を電気屋に持ち込んだことがあります。

家電が故障すると、すぐに地元の電気屋に電話して新しいのを持ってきてもらいます。

その店はPanasonic取り扱い店なので、Panasonic一択です。

ランクもそこそこのものを店員さんは持ってくるので、お高めです。

少し待っていれば、私が休みの時に大きい電気屋に連れていってたくさんの商品の中から選択できるのに。

後からそう言うと

「だってあんたも忙しいと思って」と言うのです。

それなのに、今回は電話してきてるし。矛盾してると思いません?

ちょっと待ってみるということができない母なのです。

私が子供の頃の母

私が小学校高学年から中学生くらいの時、何か母を怒らせるようなことをすると、完全に私を無視していました。

洗濯やお弁当作りはしてくれるけど、話しかけても返事はなし。

悲しいし、困るしどうしたらいいかわからなかった。

1週間くらいそんな状態が続き、考えに考えて手紙を書いて謝罪すると、やっと話してくれる母。

そんなことがよくありました。

子供に対してこの仕打ち。

今思うと大人げない人でした。

母は聞き下手で、私が学校の話をしてもロクに聞いていませんでした。

今でも母は一方的に話すだけで、私の話はほとんど聞いていません。

母は専業主婦で、学歴もなかったし、尊敬できるところもなく、私は「母みたいにはなりたくない」といつも思っていました。

私の話は聞いてくれず、ただ口うるさいだけの母。

そんな母がイヤで結婚して家を出ることを熱望していました。

あまり考えずに23歳で結婚したのも、そのせいです。

現在は母と良好な関係だと思いますが、それも離れて暮らしているからだと思います。

子供達が巣立って一人になった時、一人暮らしの母と同居するのもありかと少しは思ったのですが、

やはりうまくいかなくなるのは目に見えているのでやめました。

母が干渉しすぎる人なのです。

大人の私に休みの日の過ごし方や何から何まで干渉するでしょう。

離れて暮らしているからこそ、優しくできるということもあります。

これを機に親孝行しなければと改めて思う私でした。

 

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