母が困った様子で電話してきた。
「もう米がない。どこか買いに連れていって」
生協の共同購入で注文済みだったはず。
でも、昨今の米不足で生協にも注文が殺到し、注文した人全員には行き届かなかったらしい。
当日になって、
「すみません、お届けできません」
と言われたと、母は怒っていた。
「だいたい、会員の人には全員届けてあげるべきよ。会員の意味がない」
以前、マスク不足の時にも母は何度も注文したのに、1回ももらえなかったと怒っていた。
きっと、新しい会員に優先的に回しているんだろうと勝手な想像をしていた。
そして、今回も米は届かなかった。
「生協だってね、全員に行き届くようにしてあげたいはずよ」
「でも、いつもより多めに注文する人がいたり、米のない所に住んでる親戚に送ったりする人がいるから、注文が殺到する。届けたくても届けられない。だから生協は悪くない」
私がそういうと、母は
「そりゃそうかもしれんけどね」
と面白くなさそう。
とにかく誰かのせいにしなければ気がすまない母。
米不足はずいぶん前から報道されている。
それなのに、悠長に構えて、ぎりぎりで注文するからこんなことになる。
「米がないなんてね…。もう心配で心配で夕べは眠れんかった」
米がない、ないと言っても、寝られないほど悩むことはないだろう。
私の自宅にあった米2㎏を母にあげて、さらにスーパーにも買いに行ってみた。
米売り場には十分に在庫があって、殺到している客なんていない。
念のためにさらに2㎏買った母。
満足げな表情。
「これからはもっと早めに買って備えてね」
と私がくぎを刺すと、
「新しい米の方が美味しいもんね」
なんて言っている。
母は全然懲りていない。
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