最近入院してきた患者さんたち。
60代糖尿病の男性
60代の男性の患者さんは家で90代のお母さんと二人暮らし。
左足の指が全部ありません。
糖尿病が原因で切断を余儀なくされたのです。
今回の入院のきっかけは血糖が異常に高くなり、昏睡状態に陥ったため。
若い時は仕事をしていたようですが、何かのきっかけで退職したよう。
そのままずっと引きこもり。
家で好きなものを好きなだけ食べ、好きなことをして過ごしていたのでしょう。
入院してもわがまま放題で、職員に対し「あー言えばこー言う」状態。
糖尿病なので、ものすごくのどが渇くらしく、毎日ペットボトルのお茶をがぶ飲みしています。
90代のお母さんに電話して、
「お茶を箱ごと持ってきて」
と言っていました。
お母さんはさすがに運べないらしく、姪っこさん2人が30本ほど持参。
それなのに、2日後には残り3本。
この人は退院したらどこに行くのでしょう。
家に帰ると言っていますが、お母さんの負担はいかほどでしょう。
90代という超高齢なのに、一体いつまで糖尿病の息子の面倒をみれるのか。
引きこもりの子供の面倒をみている高齢の親は多いですが、子供が健康ならまだいいのです。
こんな風に本人が病気について自覚がなく、好きなものを食べ、好きなことをしている子供に対し、高齢の親はなすすべがないでしょう。
お母さんは本当にお気の毒ですが、子供を甘やかしてきたツケがまわってきたのでしょう。
何も食べない90代の女性
こちらのおばあさんの入院のきっかけは胸椎の圧迫骨折。
娘さんと二人暮らし。
髪は伸び放題でやせこけている。
家ではご飯をほとんど食べず、アンパンばかり食べていたとのこと。
入院したけど、やはりご飯は食べない。
食べさせようとしても、口を開けずに手で払いのける。
もう食べることを忘れているようです。
こうなると、病院では点滴になります。
でも、ボケている患者さんは点滴の針を勝手に抜きます。
こんな人をよく家で面倒みていたなと思います。
面倒みていたというか、どこかに預けるとお金がかかるので家に置いていたというのが正しいかも。
家ではもうぎりぎりの状態。
面倒みているとも言い難い状態。
施設などに預けるとお金がかかるから経済的に無理。
しかたなく、家にいる。
最近、こういう扱いを受けている高齢者が多いです。
厳しい現実です。
長生きをしすぎたのでしょうか。
こういう患者さんを日々見ていると、ある程度の年齢になったら、判断能力のあるうちに、自分で自分の先々のことを決めておかなければならないと思います。
50代の気の荒い男性
50代前半の比較的若い男性が入院してきました。
一人で団地暮らし。
身よりはなく、緊急連絡先は市役所のケースワーカー。
軽い知的障害があって、生活保護を受けています。
入院中だというのに、長くて太いネックレスをジャラジャラつけたまま。
2.3日前に同室者とトラブルになりました。
4人部屋なのですが、別の2人が話していたのを自分が悪口を言われていると勘違い。
「オレは前科6犯なんや、殺しなんか何ともない」
「文句あるなら言ってこいや」
すごい剣幕でそんなことを言っていたそう。
話していた2人は穏やかな人たちなので、それ以上のことはなかったのですが、気の荒い相手だったら大きな問題になっていたでしょう。
『もし今度こういうトラブルを起こしたら、即刻退院します』
そういう誓約書を書いたそうです。
実際、もう治療することはなく、とっくに家に戻ってもいい状態。
前科6犯かどうかは知りませんが、知的障害とまでは認定されず、一歩手前のグレーゾーンの人が社会になじめずに事件を起こすことは多いと聞きます。
100歳を目指す90代のおばあさん
97歳のおばあさん、息子2人が熱心でよく来られます。
この間も誕生日だからとショートケーキを1つ持ってこられました。
ケーキを前に家族を写真におさめようと、職員がスマホを構える前に、おばあさんは素手でケーキをガッとつかんで、口に入れたのです。
ケーキは台無しになりました。
息子たちは「100歳まで生かしてあげたい。頑張れ」と言っていますが、もう何も食べようとせず、点滴だけで生きている状態。
その点滴を何回も自分で勝手に抜いています。
そんな状態だとわかっているのに、なぜ息子たちは少しでも長く生きろと言うのでしょうか。
健康とは言えない状態で100歳まで生きることの意味は何でしょうか。
どんな状態でも少しでも長く生きてほしいと思うのが家族かもしれませんが、これは家族のただの自己満足であるかもしれないのです。
病院で管につながれて少しばかり長生きするより、家で家族に囲まれて最期を迎える選択をした方がいいと私は思います。
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