息子が不登校になった時

長男は高2の夏休みの後、学校へ行かなくなりました。

それまでは特に変わったこともなく、無遅刻無欠席でした。

夏休み前から親戚の人に紹介されたスーパーでアルバイトを始めたことがきっかけだったかもしれません。

一日中パソコンに向かって、どこか遠くの会ったことのない人と話しながら夜中遅くまでゲームをし、朝起こしても起きませんでした。

私も出勤時間が迫る中、いつまでも長男につきあうことはできず、そのまま出かけると、「今日も無理、電話しといて」と長男からメールがあって、学校に欠席の連絡をする…ということが続きました。

なぜ学校に行きたくないのか、理由を聞いても返答なし。

でも、それ以外のことは話すのです。

担任の女の先生はとても熱心で、車で30分以上かかるうちの家まで、ほぼ毎日息子を迎えに来てくれました。

それでも何とか登校する日と、だめな日がありました。

ネットを解約したらゲームをやめて学校へ行ってくれるのではないかと思ったりもしました。

でも、ネットを解約しても根本的な解決にはならないんですよね。

むしろ解約なんてしたら、かえって息子を傷つける結果になると、なんとか思いとどまりました。

今から20年近く前は不登校を相談できるところもほとんどなく、ネットなどの情報もなかった。

そして自分の見栄や世間体を重んじるあまり、誰にも相談できませんでした。

そのころの私は「学校なんか行かなくてもいい、別の選択肢もあるんだ」とはどうしても思えず、ただとにかく学校へ行ってくれさえすればと願うばかりでした。

懇願したり、怒ったり、泣いてみたり。

なりふり構わず毎日息子を学校に行かせることに必死でしたが、彼は登校しなかった。

修学旅行も行かず、卒業写真にも写ることができませんでした。

彼はどんな気持ちだったのでしょう。

修学旅行には行きたかったのでは…

でも、それを上回るほどの学校に行きたくない理由があったのでしょう。

出席日数ぎりぎりで3年に進級しましたが、3年の担任の先生は不登校について親身になってはくれませんでした。

登校しないと奨学金が止められると言われ、先生からはやる気のない人間は去ってほしいという態度をされ、結局退学することになりました。

高校卒業程度認定試験について調べて受験を勧めると、息子は素直に応じ、受験し、合格しました。

その後専門学校を受験し合格し、しばらくは登校していましたが、またすぐに行かなくなり、半年で退学しました。

半年ほど家に引きこもっていましたが、近くのスーパーのバイトを見つけて勧めてみると、息子はやる気になったようで、積極的に面接に行き、働き始めました。

それからスーパーのバイトを続け、一時は朝刊の新聞配達の仕事と掛け持ちで働いていました。

朝2時に起きて新聞配達していた頃は本当に大変だったと思いますが、よく頑張ったと思います。

現在はとある会社で正社員として働いています。

この頃のことを思い返すと、よく立ち直って、仕事に行けるまでになったなと思います。

長男がなぜ不登校になったのか、それはいまだにわかりません。

彼がその高校を受験したのは、その地域で一番レベルの高い高校であり、親の私がそこに行ってくれることを望んでいたことを知っていたからだと思います。

彼は親の願いを叶えようとしたのでしょう。

皆大学を目指す高校で、彼は違う道を模索していたのに、それが許されなかったから、逃げるしかなかったのかもしれません。

次男は自分の行きたい高校を選びました。

普通科がいいと勝手に思っていた私でしたが、彼は工業科を受験したのです。

でもその選択のおかげで、彼は今自分の好きな仕事をしています。

あの時、もっと長男と進路についてよく話し合っていたら、私の思い込みの高校選び、私の希望の押し付けをしていなければ、彼の進路は変わっていたのかもしれません。

長男のその頃の苦悩を思うと、今も胸が苦しく、涙があふれてきます。

彼が苦しんでいた時、私は何をしてやれたのか。

何もしてあげられませんでした。

ただ、不登校の息子がいることを世間に知られたくなかった。

世間体が悪い、恥ずかしいと思っていました。

親として未熟でしたし、今もそんな自分を恥じています。

不登校の子供さんがいるご家庭はとても多いと思います。

その理由は様々で、この方法がいい、こうしたらうちはよかったなど簡単に答えが出る問題ではありません。

ただ、子供さんを信じて大切にして見守ってあげることが一番なのではないかと思います。

私は長男に「○○くんはまだ頑張れるよ。○○くんはできる子だからお母さんは信じてるよ」と何度も伝えていました。

そんなことくらいしか伝えることができなかったのです。

それがよかったのか、悪かったのかはわかりませんが、彼は就職して今に至っています。

親のなりふり構わない真剣な姿を、子供はちゃんと見ているのではないでしょうか。

 

 

 

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