高齢者が交通事故を起こすケースが後を絶ちません。
アクセルとブレーキの踏み間違いなのか、他に原因があったのか。
いずれにせよ、高齢により判断力が鈍っていることに間違いはないようです。
私の父の場合
私の父も長い間、運転していました。
母の買い物につきあうのが主でしたが、運転が大好きでした。
若い頃は仕事でトラックを運転していたらしく、運転には自信があったようです。
年をとっても「自分は運転はうまい」と言っていたし、運転は慎重で丁寧でした。
少しずつ日常生活で記憶に問題を感じ始めた頃も、年齢相応の物忘れかと変わらず運転は続けていました。
しかし、ある時からふと車を見ると、こすったような痕が見られるようになりました。
1度走行中に接触事故を起こしたのか、当て逃げされたのか、車の左側がひどくへこんだ状態のまま帰ってきたことがありました。
一体どうしたのか。
父に何を聞いても要領を得ない。
今回は大事に至らなかったからよかったものの、このまま運転を続けると、大事故を起こしてもおかしくないと運転をやめさせることにしました。
「もうあの車は運転できないのよ」
と母と弟が話し、車があれば運転してしまうかもしれないと車を手放しました。
それからの父の落ち込みようはひどかった。
かわいそうなくらいでした。
なぜ、車がなくなったのか理解できず、「まだ乗れたのに」といつも言っていたそうです。
隣の家に行って、「うちの車が盗まれた」と話したこともあったそうです。
その後一気に認知症が進んだと母は言っていました。
運転することが父の生きがいだったのです。
しかし、事故を起こして世間に迷惑をかけるわけにはいかない。
家族は本人の気持ちと世間からの圧力に悩むものです。
車を手放すと、母自身も行動範囲が狭くなり、よく不平不満をこぼしていました。
高齢者は自分の運転に自信のある人が多く、「自分は大丈夫」「あんな事故、自分は起こすはずがない」という謎の自信を持っている人が多いそうです。
高齢者の認知機能検査
75歳以上のドライバーは高齢者講習の前にこの「認知機能検査」というものを受けなければならないそうです。
警察庁のホームページを見ると、具体的な問題が記載されています。
1問め
今が、〇年〇月〇日 〇曜日 〇時〇分かを答える問題。
2問め
まず16個の絵を覚えてもらいます。
絵は電化製品や動物、昆虫、文房具、乗り物、花など。
覚えた後、別の簡単な数字の作業をします。
そして、さっき覚えた絵を思い出してもらい、それが何だったかできるだけたくさん書きだします。
わからなければ、ヒントもあるそうです。
例えば、答えが「キリン」なら動物とか。
最後の問題
時計の絵を書いてもらいます。
そして、〇時〇分と指定された時刻を書き入れます。
認知症の人は
私は認知症の人に日常的に接しているので、この問題を見た時、
「まず、認知症の人なら無理だな」と思いました。
まず、日にちはほぼわからない人が多いです。
年は「昭和」と答える人が結構多いですね。
平成という人もいるけど、西暦はまずわかりません。
さっき見たものを思い出すのも、1個くらいはわかるかもしれませんが難しい。
認知症患者はその一瞬、一瞬を生きていますから。
時計もまず描けないでしょう。
試験対策のための書籍も出版されているようです。
試験結果から
「記憶力・判断力が低くなっている」と判断されても、免許証の更新をすることはできるそうです。
ただし、このような方は一定期間に信号無視などの交通違反がある場合には警察から連絡があり、専門医による診断を受けなければなりません。
そして、「認知症である」と診断された場合は免許が取り消されるそうです。
しかし、認知機能だけの問題なのでしょうか。
もちろん、認知症だと診断された人は運転してはいけません。
でも、認知症ではないけど、判断力が鈍っている人は多くいます。
とっさの判断ができなかったり、あわててしまって操作ミスをしたり。
そんな場合に有効なのが、衝突被害軽減ブレーキなのではないでしょうか。
衝突被害軽減ブレーキとは
カメラやレーダーにより、先行車との距離を常に検出し、危険な状況にあるかどうかを監視します。
追突の危険が高まったら、まず音で警告し、ドライバーにブレーキ操作を促します。
それでもブレーキ操作がなく、追突の可能性が高いと判断した場合、自動的にブレーキが作動するものです。
日産ではエマージェンシーブレーキ、スバルではアイサイトなど、各社名称は異なります。
私は前回の車の買い替え時に、この装置がついた車に買い替えをしました。
年をとるにつれて、判断力が鈍るのは当然なので。
50代でも、もう判断力には自信がなくなってきています…。
事故を起こさないために
高齢で運転する人に対しては周囲が気を配り、
まず、衝突被害軽減ブレーキが搭載された車に乗る。
車に傷が増えてないか、確認する。
そして、普段から言動や記憶に少しでも問題を感じるようであれば、免許返納をさせることが大切です。
家族の言うことを聞かないという高齢者も多いと思いますが、そんな時は我が家のように車を処分するのがよいかと思います。
事故を起こしてからでは遅いのです。
家族の協力が絶対的に必要です。
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