ゴミ屋敷で見つかったおばあさん

person in black and red jacket sitting on green grass field during daytime

私が勤務している病院に入院してくる人には、色々な事情がある人が多いです。

ゴミ屋敷にいたおばあさん

昨日、89歳のおばあさんが入院してきました。

入院のきっかけは、近所の人の「あの人、最近見ないね」という一言から。

心配になったご近所さんが役所に通報し、役所が家に立ち入り、ゴミ屋敷の中で横たわっていたおばあさんを発見。

検査の結果、おばあさんは特に悪いところはなく、かなり前に胸と腰に圧迫骨折をした痕跡があったくらい。

背中に床ずれがあり、両ひざが完全に曲がったまま固まっていて、歩けなくなっていました。

認知症もひどく、自分がどういう状況かわかっていませんでした。

髪の毛は伸び放題で、一部は羊毛キルトみたいに毛と毛が絡まり、固まってダンゴ状態。

家は古い一戸建て、旦那さんはおらず、一緒に暮らしているはずの60代の一人息子は家にしばらくいなかった様子。

息子は60代前半ですが、仕事にはついておらず、自身の年金はなく、母親の年金で暮らしているそう。

入院時は一緒に来ていたそうですが、見た目は完全におじいさんだったそうです。

なぜ、息子は家にいなかったのか、息子に尋ねても要領を得ない。

今後、リハビリしながら、家に帰るのか、施設に行くのか、家に帰るとしたらどのくらい息子の介護が期待できるのかということになってくるでしょう。

息子は完全に母親の年金をあてにしているので、母親が施設に入ると費用面の問題があるでしょう。

息子の先々の生活を考えると、母親の行く先はなかなか決めにくいのではと思われます。

最近、ゴミ屋敷状態の家から運ばれてくる高齢者がとても多いです。

異臭を放つおばあさん

少し前にも、体格のいい70代のおばあさんが入院してきました。

事実婚同士で、奥さんが脳梗塞で寝たきりになり、少し認知症のある旦那さんは食事を買ってくることしかできず、家はゴミ屋敷化し、二人ともお風呂に長期間入っていない状態でした。

こちらもご近所さんが見かねて、通報してきたそう。

運ばれてきた時の異臭と言ったら。

すぐにお風呂に入れて、何回も何回も洗いました。

その後、ソーシャルワーカーが生活保護の申請をし、施設も探し、数か月後には無事施設に入りました。

事実婚の旦那さんはその後どうしているのでしょうか。

息子にほったらかしにされたおばあさん

また、別のケースですが、こちらも一人息子がいる一人暮らしの80代のおばあさん。

息子は「母が大丈夫だと言うので」と一人暮らしをさせていたそう。

そのおばあさんは腰がひどく曲がっていてよろよろ歩くので、いつ転倒してもおかしくない状態。

しかもかなりの認知症。

それなのに、自力で買い物に行き、生活していたそう。

近所の人が見かねて買い物を代わりにしてくれていたそうですが、とうとう民生委員に相談し、入院することに。

特に悪いところはなかったので、施設が決まるまでの入院でした。

こちらも無事、施設が決まり、退院しました。

高齢者が自宅で暮らすということ

これからの時期、暑くなると自宅での孤独死が増えるそうです。

一人暮らしなら仕方ない部分もありますが、誰かと同居していても介護放棄をしている家庭は多いようです。

高齢者で体が不自由になり、自分のことができなくなると、同居の家族は途方に暮れます。

面倒をみれないなら、誰かに相談するとか、役所に相談するとか、施設に預けるとか、何か手を打てばいいのに、ほったらかしの人が多い。

どうしたらいいのかわからないのか、めんどくさいのか。

ほったらかしにしていた子供に限って、今後のことを聞かれると

「母のことが大切。少しでも長く生きられるように、できることは何でもしてあげたい」と殊勝なことを言います。

高齢者は自分のことが自分でできなくなる前に、自分の行く先はどうするのかをあらかじめ考えておく必要があるでしょう。

そうしないと、子供から見捨てられて悲惨な目に合いますよ。

 

 

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