私は療養型病院で、介護福祉士として働いています。
病院ではいつも人の死が身近にあります。
昨日もまた患者さんが一人、亡くなりました。
死因は老衰。
男性で90代の人です。
結婚歴はないようで、身寄りはなく、お金の管理は後見人。
たまに友人という女性が面会に来られていました。
もうそろそろ危ないという時にその女性に連絡はしましたが、最期には立ち会わなかったようです。
この男性の人生はどんなものだったのでしょうか。
長く寝たきりでおられたようですが、どんな思いだったのでしょうか。
最近、このように家族がおらず、誰からも看取られずに亡くなる方がとても多いです。
親兄弟が亡くなっていたり、自身も未婚だった場合とか。
結婚はしていたけど、離婚してしまって、子供とも音信不通な場合とか。
家族がいても絶縁状態で、家族の方から「連絡してこないでほしい」と言われている人も多いです。
かと思えば、元夫とか元妻という人が見かねて世話をしてくれる人もいます。
人間、最期はひとりなのはわかっていますが、寂しいものです。
ひとりで最期を迎えなければならないのは、本人が好き勝手にやってきたからなのか、周囲の人に恵まれなかったのか、色々なことがうまくいかずにこうなってしまったのか…
事情はわかりませんが、最期は誰か側にいてもらえたらよかったのにと思います。
私自身も自分の最期に誰かに側にいてほしいと思います。
母が最期を迎える時は、私や弟が側に寄り添うことができるでしょう。
私が最期を迎える時は、きっと子供たちが来てくれるでしょう。
元夫はどうだろうか。
私の独身の友達はどうだろうか。
たったひとりで亡くなっていくのだとしたら、悲しいことです。
誰も面会してくれる人がいない高齢者とは対照的に、とても熱心なご家族もいます。
洗濯物はクリーニング業者に頼む人が多いのですが、一部のご家族は週2回はやってきて、洗濯物を洗って届けるのです。
新しいパジャマや肌着を頻繁に買ってきたり、よく気がつく旦那さんたちも多いです。
もう何年も寝たきりで、話しかけても何の反応もないのに、ずっとかいがいしく身の回りの世話をする人たち。
「今日は結婚記念日なんです。結婚50年目です」
ある時そう言っていた、旦那さん。
奥さんはぼんやりとした表情で、何の反応もありません。
ガラケーのカメラで二人の写真を撮ってあげました。
奥さんの世話をすることが、旦那さんの生きがいなのかもしれません。
どんな姿でも生きていてほしい、そう思っているのかもしれません。
こんな旦那さんに、生涯面倒を看てもらえる奥さんは本当に幸せでしょうね。
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