以前働いていた病院で。
長く入院していた90代のおばあさんがいました。
どこかの病院で婦長、つまり師長さんをやっていた人でした。
結婚歴がなく、たくさんの遺産は甥っ子さんが相続することになっていました。
その甥っ子さんは、ほとんど見舞いに来たことはありませんでした。
そのおばあさんは、年相応の物忘れはありましたが、
頭はしっかりしていました。
「元気になったら何がしたいですか?」
とある時尋ねてみたら、
「そりゃ、旅行に行きたいね~。若い頃はあちこち行ったよ。イタリアとかフランスとかね」
「いいですね~」
と言うと、嬉しそうに旅の話をしてくれました。
ずいぶんあちこち海外旅行に行ったようでした。
先日母に、ソウルに旅行に行った話をすると、
「ソウルってどんなとこ?」
と聞くので、
「お母さん、10年位前に一緒に行ったよ。プサンにも行ったよ。忘れたの?」
と言うと、
「いや、行ってないよ」
悲しくなった。
でも、あれこれソウルの話をすると、
「あーそうそう、思い出した。行った、行った」
と言い始めたが、本当に思い出したのか怪しいもの。
一度は飛行機に乗って海外旅行に連れていこうと思って、頑張って行ったのに。
忘れられたら悲しい。
母は独身の頃勤めていた会社の慰安旅行で、結構旅行に行ったらしい。
この話はよく覚えていて、今だによくする。
年をとって、いい思い出になるのはやっぱり旅行なんですね。
旅行って、行ったことのない場所で色々なものを見聞きし、
そこで美味しいものを食べて、飲んで…。
経験として記憶に刻まれて、それは時間がたつほど価値が増していくものなのかも。
海外旅行に行くのはなかなかハードルが高くて無理かなと思うけど、
いつか富士山が見える温泉に入って、美味しいものを食べてみたいなと思います。

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