厄介者扱いされる認知症高齢者

療養型病院に勤務する、アラ還の介護福祉士です。

特別養護老人ホームに7年ほど勤務後、病院に転職しました。

特別養護老人ホームというところは、終の棲家ですので、そこで一生過ごします。

ホームを出ていく時は、体調が悪くなって入院になる時と死亡した時です。

しかし、病院では退院して出ていくことが前提です。

退院後どこに行くか、家族や医療ソーシャルワーカーと言われる人達が話し合い、「家に帰る」「施設に行く」などの方向性を決めます。

施設に行く場合も、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなどいろいろな選択肢があるので、家族の意向や経済状況などに合わせて選択していきます。

夜間寝ない認知症高齢者

介護者も人間で、人の好き嫌いはあります。

仕事と思って割り切っていますが、正直うんざりすることも多々あります。

中でも一番厄介なのが、夜なのに寝ない高齢者です。

現在、私がいる病棟にはMさんとNさんという寝ない高齢者が2人います。

しかも、Nさんは何回も転倒していて、いってみれば問題児です。

ほとんどの高齢者は夕食が終わると、19時くらいにはベッドに横になります。

まだ早いので、テレビを観たり、本を読んだり各々好きなことをして過ごします。

しかし、認知症の高齢者はテレビも本にも興味がない人が多く、ベッドに寝かせてもすぐに起きてきます。

トイレに行ったばかりなのに、「トイレに行きたい」とか「眠れない」とか。

用事もないのに、ナースコールを何回も押す人もいます。

しかも、車椅子を使っていて、もう歩くということは困難な状態であるのもかかわらず、自分では歩けると思っていて、立ち上がって転倒するのです。

もちろん、ベッドにセンサーはついていて、音が鳴るので急いでいくのですが、間に合いません。

こんな高齢者は目が離せないので、私達は仕事をしながら、このような高齢者を連れて回り、常に見守りながら仕事を片付けていくのです。

「〇〇さん、何で寝ないの?」

「寝てくれたらほんと助かるのに」

「さっきもトイレ行ったよ。また行くの」

「眠れないなら、もう起きてて」

こんなことを私達は言ってしまいます。

言わずにはいられないのです。

その間にナースコールが鳴ったり、突発的なことが起こると、やらなければいけないことが同時に何個も重なるので、イライラしながら優先順位を考えて片づけていきます。

認知症高齢者を連れて回りながら仕事をするのは、思っている以上にめんどくさく、ストレスを感じます。

そして、23時頃になってからベッドに寝てもらいます。

そうすると、何とか朝の6時くらいまで寝てくれる可能性が高いのですが、だめな時は2~3時間で起きてきて、「あーあ」ということもよくあります。

0時に深夜勤務の人と交代するのですが、深夜勤務は2人なので、なるべく負担をかけないように、準夜勤務の3人は頑張って起こしておくのです。

「昨日、あの人寝てくれたよ。よかった~。あの人が寝てくれると全然違う」

ごくたまに寝てくれた日の、深夜さんの翌日の会話です。

自分が認知症高齢者の立場だったら

「この人は落ち着いているから、まだ入院しててもいい」

「この人は大変だから、早く退院してほしい。家族は施設の申し込みしてるのかな」

などという会話は私達の間でよく行われます。

私もあと15年、20年たてば高齢者です。

しかも、認知症にならない保証はどこにもありません。

もし、認知症になって、家で過ごすことができずに病院や施設に入ったら。

こんな風に介護者に厄介者扱いされ、イヤミを言われ、自分は眠れずにつらい思いをするのでしょうか。

自分の未来の姿を見ているようで、つらく、悲しくなります。

なぜ、高齢者は眠れないのでしょうか。

眠れない高齢者への対処法はあるのか?

病院では睡眠薬を使うことが多いですが、私がいる病院ではそれほど強い薬は使ってないようです。

しかし、急性期病院では強めの薬を出されることが多いらしいです。

昼間起こしておく、というのはもちろん鉄則なのですが、起こしておいても車椅子の上でうとうとしていることがよくあります。

また、ショートスリーパーな人は本当にいます。

昼間も寝てないのに、夜2~3時間寝るとすぐに目を覚まし、「すいません、すいません」と言いながら、ベッドの柵を叩く人が以前いました。

高齢者になると、眠りが浅くなる人が多く、眠れないからと早く床に就くことで余計に眠れないと感じる人は多いそうです。

私も最近、寝つきが悪くなったなあと感じることは多いです。

今夜もまた…

今夜も夜勤です。

また、MさんとNさんは寝ないのでしょうか。

顔を見るだけで正直うんざりしてしまいます。

施設で介護者が高齢者に暴力を振るったとか、殺してしまったなどという事件は多いですが、わからなくもないと私達はよく話します。

しかし、高齢者もつらいのでしょう。

MさんもNさんもいつもどんよりとした表情をしています。

まったく活気も笑顔もありません。

何にも楽しいことはないのでしょう。

家で過ごせるなら、どんな生活リズムであっても誰にも迷惑をかけることはありませんよね。

健康で、一日でも長く自宅で過ごす力を保つことが一番の対処法なのかもと思います。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました