子供のいる人生を選んだ男

私は療養型の病院に介護福祉士として勤務している、アラ還の女性です。

私の職場のBさんは45歳の男性、私と同じ介護福祉士です。

仕事ぶりはまあ真面目、仕事とプライベートはしっかり分けるタイプの人です。

彼には結婚して10数年になる年上の奥さんがいました。

二人の間に子供はいませんでしたが、一戸建ての家を建て、仲睦まじい夫婦に見えました。

子供を望んでいたらしいのですが、とうとう恵まれることはなく、それどころか奥さんは乳がんを発症し、乳房の摘出もしたそうです。

病の奥さんを支え、優しい旦那さんだなあと周囲からは思われていたのですが…

実はもう何年も、同じ病院に勤める一回り年下の女性と婚外恋愛をしていたのです。

そして、とうとう3年前、その女性が妊娠してしまいました。

女性は産むと言い張り、Bさんは困り果てて、奥さんに告白。

奥さんは浮気には気づいていたのですが、子供が産めなかったことに負い目を感じており、浮気には目をつぶっていたらしい。

「私が子供を下ろせと言えるわけない」と言い、離婚を承諾したそうです。

それからバタバタと離婚し、すぐにその年下女性と入籍。

すぐに建売の一戸建てを購入。

半年後には無事男の子が生まれました。

Bさんは「できる限りのことをしたい」と元嫁に慰謝料として数百万を支払ったそうです。

二人の共有名義の一戸建ては売りに出し、無事買い手がつき、ローンはほとんど残らずにすんだそうです。

それからのBさんの子煩悩ぶりは驚くほどで、話すことはいつも息子の話ばかり。

仕事が終わると一目散に帰宅。

家事や子育てを一生懸命やっているそうです。

そして、1年後には奥さんの2回めの妊娠が発覚。

来年早々出産予定です。

Bさんは喜びいっぱいの様子。

人生ってわからないものですね。

子供のない人生を送る予定だった男性が、一転して2人の子供の父親になる。

特別子供好きでもなさそうだった男性が、周囲も驚くほどの子煩悩になる。

こういうことってあるんですね。

彼はこんな人生を送ることが運命だったのでしょうか。

しかし、彼の元奥さんはあまりにかわいそうです。

子供の命を犠牲にしたくなかったとはいえ、捨てられたようなものです。

信頼して一緒に暮らしていた男性から裏切られ、どんな気持ちだったでしょう。

子供の存在って何にも勝るものなんでしょうか。

職場のみんなは「あの人は人間としてクズ」と笑いながら言っていましたが、子供を優先したということに対しては、「まあ仕方ないよね」とおおむね好意的な見方をしていました。

また、同じ職場の別の男性は7歳年上の奥さんがいます。

結婚して10年、5百万近く不妊治療につぎこみましたが、とうとう子供には恵まれず、今はキャンプなど共通の趣味を持ち、夫婦二人の生活を楽しんでいるようです。

ここまで来るには色々葛藤があったようですが、本当に仲の良い夫婦です。

私の弟夫婦にも子供はいません。

が、仲は良いようです。

子供のいる人生といない人生、選んだのか、選ばずしてそうなったのか、いずれにしても悔いのない人生を送りたいものです。

 

 

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