サンタクロースの思い出

街にイルミネーションが点灯し、クリスマスソングが流れる頃になると思い出すことがあります。

まだ、結婚していた頃のことです。

世帯数多めのマンションに住んでいたのですが、私と同じくらいの年齢の人が多く住んでいて、子供たちの年齢層も同じくらいでした。

すぐに親同士も子供同士も仲良くなり、子供たちを集めて共同の集会所のような部屋で工作教室をしたり、誕生会をしたり、何かとイベントをしていました。

私が離婚を決意して家を出る、前の年のクリスマスのことでした。

奥さん達とクリスマスイベントについて計画していた時、どこかの旦那さんにサンタクロースになってもらい、クリスマスプレゼントを手渡ししたら子供たちは喜ぶだろう。

誰かにサンタをやってもらおうという話になりました。

家に帰って元夫にその話をすると、「オレがやる」と快い返事。

こういう時、なぜか元夫はノリのいい人でしたね。

サンタクロースの衣装をみんなのお金で購入し、私が預かりました。

各家庭、それぞれのプレゼントを事前に預かり、名前をプレゼントに付箋で貼りつける準備をして、いざ当日。

非常階段でサンタの恰好をした元夫と私がこっそりと待機。

直前に子供の名前を私が伝え、瞬時に覚える元夫。

「ピンポーン」とチャイムを鳴らして、玄関からサンタ登場。

サンタさんは煙突から入ってくるんじゃないの?という話はこの際無視して。

元夫は「○○ちゃん、メリークリスマス!サンタさんだよ~。いい子にしてたかな~」とおじいさん風の声で言いながらプレゼントを渡し、頭をなでたり、握手をしたりして、写真撮影にも応じ、帰っていったそう。

これを約12~13軒くらいやったかな。

兄弟がいる家は名前が混乱したりしたみたい。

そして、最後に我が家にも登場。

うちの子供たちに対してはテレがあったのか、声が笑っていてちょっとクオリティに問題あり。

子供たちはサンタが帰るなり、「あのサンタさん、お父さんだったよ」と何回も言っていました。

子供たち曰く、よく着ていたセーターが袖口から見えていたそうです。

子供の観察眼はすごいですね。

後々、近所の奥様方からとっても感謝されて、演技力を絶賛され、ビールやお酒のお礼をいただき、元夫はとても喜んでいました。

でも、それは1年で終わりました。

翌年の11月に私は子供を連れて家を出たからです。

家を出る3日ほど前にサンタの着ぐるみを持って、仲のよかったご近所さんのお宅に行き、事情を話して着ぐるみをお返ししました。

そのご近所さんから、「サンタさんの役、すごく上手だったのに。今年もやってもらうつもりだったのに。残念」

そう言われ、悲しく、何とも言えない気持ちになりました。

あの年は誰がサンタさんになったのだろう。

元夫よりも上手だったかな。

クリスマスの苦い思い出です。

 

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